<利尻島~稚内~クッチャロ湖>2021年夏の自転車旅(その九)29-31日目

 2021年夏のチャリキャンプひとり旅(その九)

今回は、利尻島から稚内に戻り、オホーツク海側を南下する旅です。


29日目は、利尻島の北西部を走り稚内のキャンプ場へ

30日目は、宗谷丘陵を横切りホタテの村猿払のキャンプ場へ

31日目は、更にオホーツクの海岸線を南下してクッチャロ湖のキャンプ場へ


【その九の読みどころ】

利尻昆布恐るべし

またしても利尻ガラス恐るべし

メグマ沼でカナヘビを探す学生

ホタテ回収装置を発見!

サケは獲ってもいいのか問題

いろいろと面倒な日本最北の村

悲しいお話が二つ

ライダー人気のエサヌカ線とは?

ベニヤ原生花園で新種を発見?

気に食わなかった人気のキャンプ場


●2021年7月3日(土) 29日目 晴れ 北東の風

【走行距離24km 獲得標高117m】

沓形→道道105→鴛泊→フェリー→稚内港→キャンプ場

 

山頂にちょっと雲がかかってしまったが、利尻岳をバックに出発ジャンプ。

ここ沓形岬からサハリンまで100キロという道しるべがあり、樺太は昔、日本の領土だったという思いを感じる。

出発前、近くの川が氾濫したとラジオで聞き、三島の友達に電話すると、氾濫の影響はなく大丈夫とのことで、ホッとする。沓形港に寄ると、100mほどの長いスロープ↖があったので、上っていくと、正面に利尻岳が望める場所に着く。

きっと、車いすの方がお山を眺むためのスロープなのだろう。

でも、ここから礼文島を結ぶフェリーは現在運休中なので、人ひとりいない。遠くに礼文島を眺めながら、海岸線を北上していると、干し終わった昆布を回収して束ねている人たちがいる。

女の人が多い。また、ブルーのネットを掛けている干し場もある。

ネットを掛けると乾きにくいと思うが、強風で飛んで行ってしまわないためだろうか。鴛泊に戻り、ランチタイム。

喫茶店「グランスポット」に入ったものの、定食が高いので、900円の利尻塩ラーメンを注文。

全然期待していなかったが、スープがメチャうまい。利尻昆布で出汁を取っているようだ。利尻昆布恐るべし。麺にも昆布をすり込んでいて、チャーシューと麩もよろしい。ふと外を見ると、壁に立て掛けていたマイチャリのフロントバッグにカラスが乗っかっているではないか!。慌てて外へ出て追い払ったが、油断も隙もありゃしない。そのカラスは、今度、道路の向かい側に停めてあるバイクの荷物を漁っている。店の中に戻り、お店のおねーちゃんとお客さんと、利尻ガラスの話をしていると、「窓を開けたまま車を離れると、カラスが車内に侵入して食べ物を盗っていく」とのこと。そこまでするカラスは聞いたことがないので、またびっくりである。天敵になるキツネなどの肉食動物が島に生息していないのが、のさばる原因らしい。キツネがおらずストレスなく育つ焼尻の羊たちの話と似ている。加えて、人間がカラスに対して危害を全く加えないので、カラスになめられているとのこと。なるほどである。利尻カラス恐るべし。14時半のフェリーに乗るべく、岸壁へ行くと、三日前に礼文のキャンプ場にいた5人組のライダーがいる。ナンバープレートの地名がバラバラなので、長岡ナンバーのおねーちゃんに聞くと、「稚内港で知り合い、五日ほど一緒に島めぐりしていた」とのこと。みんな若くて、にーちゃん二人は日本一周中のボードを付けている。このようなライダーはよく見かけるが、若いサイクリストは滅多に見かけない。コロナで自転車に乗る人は増えているらしいが、昔に比べてツーリングを楽しむサイクリストは、確実に減っており、寂しい限りである。稚内港へ入ると、海上保安庁の船が着岸している先に、マンホールに描写されていた北防波堤ドームが見える。

北からの強力な波浪から、桟橋から駅へ向かう人を守るため、80年前に建設されたが、戦後、樺太航路が消滅してからは、北海道遺産として保存されている。昔は、ここで野宿する旅人が多かったが、今は野宿禁止とのこと。ホンマ世知辛い世になってしまったものだ。16時半に下船し、四日前に泊まった、あのほぼ完璧なキャンプ場へ向かう。事前にお願いして空けてもらっていた、前回と同じサイトに設営し、シャワーと洗濯をしたら、もう19時。暗い中、炊事場で今日の献立、青椒肉絲を作って、テントへ。

阪神は伊藤の好投とテル、糸原の活躍で広島に5―0で勝つ。晩御飯がおいしいわ。

【走行時間2:03 平均速度11.7km/h】

【本日の会計】¥8,429(フェリー代¥4,110含む)

【宗谷ふれあい公園キャンプ場評価:45点】

前回は虫が全くいなかったのに、実は蚊が多いことが判明。前回いなかったのは、強風だったからのようだ。しかし、蚊は防虫スプレーでほぼ防止できるので、ブヨやヌカガでなければ、大きな問題にはならない。


●2021年7月4日(日) 30日目 曇り時々晴れ 東の風

【走行距離43km 獲得標高250m】

稚内→農道→道道1077→R238→猿払

今日はオホーツク海沿岸の猿払村にあるキャンプ場だが、宗谷岬を廻るルートは遠回りになるし、「宗谷岬の南にある宗谷丘陵はいいよ」と、苫小牧のTさんが云っていたので、宗谷岬には行かず、丘陵を横切る最短ルートを選択。マップを見ると、その道道は「民家なし携帯圏外」とあり、幌延のキャンプ場で会ったライダーの子熊話が頭をよぎるも、稚内からオホーツク海側に抜けるショートカットコースなので、そこそこ交通量はあるはず、と踏む。朝食は、筆者の好きな「釧路いわし味付け缶」を空けてふりかけと共に。

食後、無料のシャワーをもう一回浴びて、9時半に出発。

稚内空港の横を抜けると、「メグマ沼」という湿原が現れ、木道があるので、寄ってみる。

水は澄んでいて綺麗だったが、お花はほぼ終わっている。木道を歩いていると、前から、花も咲いていないのに、道端を覗き込んでいる挙動不審の二人連れが近づいてくる。

聞くと、「カナヘビを探している」とのこと。大学でカナヘビの研究をしていて、日向ぼっこをしに木道の上に出てくるカナヘビを捕まえるらしい。因みに、カナヘビとは蛇ではなくトカゲの一種であり、普通のトカゲとの違いは、尻尾の長さが短めで、金のような色をしており、舌が蛇のように二つに分かれているとのこと。宗谷丘陵と思われる地帯に入ると、小さなアップダウンが続くも、高い木が全くないので、眺めは確かに最高。一部、ダートの道もあり、損傷しているタイヤが悪化しないよう、ゆっくりと慎重に下る。

牧草地が多く、いつもの干し草ロールや、それを荷台に積む風景が見られる。

道道1077号線に入ると、予想通り、車はそこそこ走っている。しかし、標高170mほどの名無し峠を越えると、気候は一変。青空は消え、気温が急激に下がり、海岸へ出ると海霧が発生している。オホーツクの海水温が低いためだろう。

猿払村の知来別(ちらいべつ)という町に入ると、港に立派な漁船がたくさん並んでいる。この村は、ホタテの養殖が盛んで、その漁獲量は国内で一位らしい。ホタテと云えば、網走に近い常呂だと思っていたが、猿払の方がメジャーとは知らなかった。漁船の甲板には長い爪がたくさん上を向いていてその右には網が付いている装置がある。

オホーツクのホタテ養殖は、稚貝を海にばら撒いて4年後に回収する地撒式を採用しているので、この装置を逆さに海へ沈めて、爪で海底をほじくり、ホタテが浮き上がったところを、この網で獲る仕組みなのだろう。因みにこの装置は「八尺」というらしい。サケも獲れるようで、「漁港内サケ釣り禁止」の文字が道路にでかでかと書いてある。

ということは、港の外ならサケを釣ったり、獲ってもいいのだろうか。アワビやウニは漁業権が絡むので、勝手に獲ったら犯罪になるが、サケは魚なので、釣ったり、つかみ獲りにするのはいいのだろうか。調べると、サケは稚魚を放流しているので、川や河口で獲ったら密漁になるが、海上で個人が釣る分にはいいらしい。サケじゃなくても、河川は大抵漁業権があり、放流しているアユやニジマスを釣るには料金を払わなくてはならない。放流していないウナギやフナでも本当は密漁になる。一方、海の魚は誰のものかわからないので、釣るだけなら問題ないようだ。猿払の海岸線には原生花園の案内はないものの、野生のお花がいっぱい咲いている。

オレンジ色のはエゾスカシユリ、赤いのはハマナス、そしてキタキツネの子供も。

普通のユリは横を向いているが、道内にしかいないエゾスカシユリは上を向いているのが特徴である。ホタテ処理場の建屋の壁には、ゆるキャラの絵があり、右が「さるっぷ」、左が「ホッターくん」と云うらしい。

建屋の隣には、ホタテの貝殻が山積みになっていて、ちょっと臭い匂いがする。

ホタテ貝殻のほとんどは産廃として処分されるが、抗菌性が高いので、粉砕して牛や豚の飼料に混ぜるとウイルスに強くなるらしい。13時半に国道沿いの道の駅「さるふつ公園」に着き、まずは買っておいたセコマの親子丼でランチ。キャンプ受付の時、自転車を芝生内に入れてはダメ、と云われたので、ステージの後ろ側に置いて設営。

道の駅にある「ホテルさるふつ」の日帰り風呂に入り、休憩室がコロナで閉鎖中なので、受付横の椅子に座っていたら、ホテルの人に「人を待ってないなら、早く出てってくれ」と云われる。自転車をサイト内に置くな、とか、いろいろとうるさい村である。売店に寄ると、冷凍むき身ホタテ箱があったので、うちへ1キロ分送る。

帰ってから刺身とバター焼きで頂いたが、ナマのように旨かった。皆さんもどうぞ。サイトへ戻ると、車中泊のおじさんが話しかけてきて、「自分も自転車で日本一周したことがあるが、71才の今はもうできない」とか「大阪に住んでいて、家内と車で道内を車で旅している」とか。やっぱり70を越えるとチャリ旅はしんどいのか、とプチ悲しくなる。

夕食はポトフで、昨日スーパーで買った「洞爺」というじゃがいもが甘くておいしい。インカのめざめもいいが、洞爺もいい。内地のスーパーにも流通して欲しいものだ。阪神は広島に3―4の惜敗。テル5連続三振。この頃から、佐藤テルの調子がおかしくなる。

【走行時間2:43 平均速度13.5km/h】

【本日の会計】¥8,656(ホタテ代5,130含む)

【さるふつ園キャンプ場評価:38点】

充電不可、管理人はいるが冷蔵庫がなくて保冷剤不可だが、料金400円、風呂450円はお安め。寒いせいもあるが虫は全くいない。道の駅にしては珍しいコインランドリーもある。炊事場やトイレにはソープと消毒液が常備してあり、サイトが広くアクセスもいいので、総じて云えば、また泊まってみたいキャンプ場である。


●2021年7月5日(月) 31日目 晴れ後曇り 北東の風

【走行距離37km 獲得標高47m】

猿払→R238→エサヌカ線→R238→浜頓別

 

今日はルート図のように、オホーツク海に沿って南東へ進み、浜頓別にあるクッチャロ湖までの旅。距離は40キロ弱、高低差ほとんどなし、風もサイドフォローなので楽勝の日である。サイト内の芝生にかわいいお花が咲いているも、花びらは、寒いからだろうか、閉じてしまっている。奥のピンクも同様。

昨夜20時頃から霧雨状態になり、朝には止んだが、周りはまだ真っ白。昨日呑んだビール缶に水を入れて重し代わりにして、ご飯を炊く。

朝食は、ポトフ卵納豆にご飯。

炊事場で、大阪のおじさんのおばちゃんがいて、お話ししていたら、「関西の人と話すと落ち着くわあ」と云われ、笑ってしまう。掃除のおじさんには、「一日どのくらい走るの?」と聞かれ、松本から来たというおじさんには、「珍しいけど、どこのチャリ?稚内でクマが出たらしいで」と云われ、今日は朝からよく声を掛けられる日である。

出発の9時半頃になると、徐々に霧が消えていき、青空が見えてくる。海岸の方へ行くと、ホタテの化石があり、明日行く予定の中頓別鍾乳洞から発掘したとのこと。

その隣には、80年ほど前、ロシアの貨客船「インディギルカ号」が座礁して700余名が命を落としたという碑がある。400余名は救助されて助かったらしいが、悲しい話である。海岸線を走っていると、「猿払パーキングシェルター」という横長のトンネルがある。

地吹雪で視界がゼロになるホワイトアウト状態になった時、避難する場所で、走行車線の外側に駐車帯がある。浜猿払を過ぎると、通称「宗谷国道」は内陸部に入るので、「エサヌカ線」という変な名の海岸線の道路へ。入るとすぐに「猿払電話中継所跡」というのがあり、当時、樺太と札幌を結ぶ電話回線があって、ここから樺太まで海底ケーブルがあったらしい。

そして終戦間際にソ連軍が樺太に攻め入った時、電話交換手は「皆さん、これが最後です。さようならさようなら」と言い残して殉職したとのこと。悲しい話である。知らなかったが、エサヌカ線はライダー人気の道であり、ツーリングマップルには「牧草地を貫く直線道路が地平線に向かって延びている」とある。確かに車よりバイクの方が多い気がする。まっすぐな道の先には、気温が上昇しているので、逃げ水現象が見られ、その先はもう地平線だ。

ここは撮影スポットでもあり、前方に止まってカメラを構えているライダーがこっちを向いてシャッターを切っている。望遠度合いがわからないが、自分が映っている気がする。本格的なカメラなのでプロのカメラマンだろう。だとすれば、ライダー雑誌とかに載るかもしれない、と思いながら、知らぬ顔をして通過する。酪農地帯だから、乳牛も見える。

寝そべっている牛さんもいて、のどかな光景だ。そして、大きな工場は、よつ葉乳業の牛乳生産工場だ。

よつ葉牛乳は北海道のブランドであり、業務用では国内25%のシェアがあるらしい。国道へ戻ると、「ベニヤ原生花園」の看板があり、あまり期待しないで行ってみると、ビジターセンターのおねーちゃんから、「まだ咲いてますよ」と云われたので、廻ってみることに。歩くと1時間ほどかかりそうなので、近くまでダート道を走ってから木道を歩く。結果、十ほどのお花が咲いていて、ビジターセンターで写真を見せながら、お花の名前を教えてもらう。

上から、「ツルコケモモ」、「オオヤマフスマ」、「ヤナギトラノオ」、「センダイハギ」、そして「カタツムリ」。上から二つ目の白いのは、直径5ミリしかないメチャ小さいお花だったせいか、おねーちゃんも認識しておらず、植物図鑑で調べて、やっと「オオヤマフスマ」だという結論になるほど、珍しいお花であった。プチ嬉し。キャンプ場のあるクッチャロ湖には13時に着き、まずは日帰り温泉「はまとんべつ」のレストランでランチ。生姜焼き定食を頼んだら、正解であった。

生姜焼きに外れはなし。予報では、曇りのち雨だったのに、午前中はむしろ晴れていたのでラッキーだったと思いながら、軒下に置いていた自転車に戻ると、今朝食べたバナナの皮やゴミが散乱しているではないか!。ここに置いた時、ビニール袋はカラスにやられ易いので、やばいかも、と思ったが、案の定、やられた。散乱したごみを回収するのは面倒だったが、実害はなし。しかし、バナナの皮も置いていくとは、舌の肥えたカラスである。キャンプ場の受付で、神戸から送ってもらったタイヤの入ったコベルコの紙袋を受け取り、早速、前輪に取り付ける。

これで前輪の不安はなくなり、ホッとする。クッチャロ湖畔のキャンプ場は人気が高いと聞いていたが、ランドリーが通常より100円高い300円、乾燥機も30分で通常の倍の200円もする。そして、もっとびっくりしたのは、充電するのに3時間で100円も搾取すること。ぼったくりに近いせこいキャンプ場だ。そして夕方、霧雨状態になってきたので、外したサイドバッグを炊事場の通行の邪魔にならないスペースに置いていたら、管理人のおばちゃんが来て、「共同の炊事場に荷物を置くな」と注意される。「テントが小さいので外へ置くと濡れるから」と云ったら、何とか許してもらえたが、ダメな理由が、「他のキャンパーが真似するから」とのこと。「普通のキャンパーは盗まれないように、テントや車の中に入れるから、マネする人なんておらんわい」と思ったが、ぐっとこらえる。なので、このキャンプ場にはもう来たくないが、温泉はヌルヌルしていて美肌の湯なので、また来てみたい。設営時にハンマーを借りた土浦ナンバーの大型バンにーちゃんとお話していると、「元プロのカメラマンで、今は自由に車中泊旅をしていて、パラボラアンテナでBSや地デジ放送を見られるようにしているが、ここは電波が弱いので、強い場所を探しに出かける」とのこと。パラボラアンテナは、どこでも見れるわけじゃないんだ、と初めて知る。本日ディナーのメインディッシュは麻婆ナス。豆腐もいいけどナスもうまい

【走行時間2:08 平均速度17.4km/h】

【本日の会計】¥5,306

【クッチャロ湖畔キャンプ場評価:41点】

管理棟があるので、充電以外はほぼ満点だが、前述のように、せこいので気分はイマイチである。それに、サロマ湖のキャンプ場ほどではないが、ここクッチャロ湖にも、恐るべしあのヌカガがいて、数カ所刺される。海に近い湖畔のキャンプ場は今後要注意である。


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